[特許]2022年公報から「発明の新規性喪失の例外」ランキング~国内出願編~

2022年の発明の新規性喪失の例外

圧巻のグリー株式会社。2年連続1位。ゲーム業界・大学関連がちらほら見られる。

インターネット利用による公報発行サイトより2022年に公開された案件を出願人・代理人別にランキングして報告します。昨年のランキングは以下のリンクから参照ください。

発明の新規性喪失の例外

日本の特許制度では、特許出願より前に公開された発明は原則として特許を受けることはできません(特許法第29条第1項各号)。しかし、刊行物への論文発表等によって自らの発明を公開した後に、その発明について特許出願をしても一切特許を受けることができないとすることは、発明者にとって酷な場合もあり、また、産業の発達への寄与という特許法の趣旨(同第1条)に反します。

そこで、特許法では、特許を受ける権利を有する者の意に反して公開された後や特許を受ける権利を有する者の行為に起因して公開された後に特許出願した場合には、先の公開によってその発明の新規性が喪失しないものとして取り扱う規定、すなわち発明の新規性喪失の例外規定(特許法第30条第1項及び第2項)が設けられています。

発明の新規性喪失の例外を申請しているランキング(出願人編)

昨年に続いて1位は「グリー株式会社」(以下、グリー)でした。2022年、グリーは他を圧倒しています。グリーだけが昨年より件数が大幅に(17件)伸ばしています。グリー以外に東北大学は昨年から7件増やして、2位に入ってきました(昨年11位)。その他は減っている気がします。

業界としては、ゲーム業界、研究機関・大学及び建築関連が多いようです。ゲーム業界は、新鮮さが必要なので、早めの公開が必要とされ、特許出願が遅れるのかなと想像しております。研究機関・大学は、やはり論文発表があるので、特許出願は後回しなのかと思います。ただ、建築関連はどうして公開が遅れるのでしょうか? 建築物を作ってから、特許出願するのでしょうか。ちょっと面白いなと思います。

順位出願人公開数
1グリー株式会社76
2国立大学法人東北大学28
3日本電信電話株式会社25
3国立大学法人 東京大学25
5株式会社バンダイ24
5株式会社寺岡精工24
7積水ハウス株式会社23
8株式会社コナミデジタルエンタテインメント22
8国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構22
10株式会社半導体エネルギー研究所20
10日本放送協会20
12国立大学法人東京工業大学17
13学校法人立命館16
14株式会社竹中工務店15
14パナソニックIPマネジメント株式会社15
14ヤフー株式会社15
17ネイバー コーポレーション14
17株式会社国際電気通信基礎技術研究所14
17清水建設株式会社14
17国立大学法人九州大学14
21東京電力ホールディングス株式会社12
21国立大学法人京都大学12
21株式会社ユピテル12
21凸版印刷株式会社12
21国立研究開発法人産業技術総合研究所12
26国立研究開発法人物質・材料研究機構11
26株式会社オカムラ11
26国立大学法人信州大学11
26株式会社イトーキ11
30株式会社Cygames10
30株式会社サテライトオフィス10
30YKK AP株式会社10
30国立大学法人北海道大学10
34マツダ株式会社9
34国立大学法人東海国立大学機構9
36株式会社 ディー・エヌ・エー8
36一般財団法人電力中央研究所8
36国立大学法人福井大学8
36理想科学工業株式会社8
36三菱電機株式会社8
36国立大学法人金沢大学8
36株式会社スクウェア・エニックス8
36国立大学法人千葉大学8
36国立研究開発法人理化学研究所8
36国立大学法人電気通信大学8
36学校法人 関西大学8
36鹿島建設株式会社8
36王子ホールディングス株式会社8
36国立大学法人静岡大学8
36株式会社LIXIL8
51JFE建材株式会社7
51ポーラ化成工業株式会社7
51国立大学法人 名古屋工業大学7
51国立大学法人広島大学7
51国立大学法人 長崎大学7
51不二精機株式会社7
51大鉄工業株式会社7
51株式会社E47
51東日本旅客鉄道株式会社7
51学校法人常翔学園7
51国立大学法人大阪大学7
51ピクシーダストテクノロジーズ株式会社7
63株式会社アルメックス6
63アシストシステムズ株式会社6
63タカノ株式会社6
63株式会社コロプラ6
63KDDI株式会社6
63太平洋セメント株式会社6
63国立大学法人鳥取大学6
63株式会社コナミアミューズメント6
63大成建設株式会社6
63ソフトバンク株式会社6
63大日本印刷株式会社6
63株式会社東芝6
63国立大学法人山梨大学6
63キユーピー株式会社6
63国立大学法人秋田大学6
63WOTA株式会社6
63株式会社タカキタ6
特許出願公開の新喪例適用ランキング

発明の新規性喪失の例外を申請しているランキング(代理人編)

「代理人」つまり「特許事務所」のランキングを示します。大手が圧倒的な数ですね。特許事務所では2位の弁理士法人志賀国際特許事務所(以後、志賀)が圧倒的ですね。志賀は3位の事務所の2倍以上の案件を取り扱っています。HARAKENZOWORLDPATENT&TRADEMARKやIPTech、みなとみらいなどトップ10の中に超大手とは言えないところが入っているところも興味深いです。来年がまた楽しみです。

順位事務所公開数
1代理人なし193
2弁理士法人志賀国際特許事務所144
3弁理士法人酒井国際特許事務所60
4伊東国際特許事務所50
5弁理士法人太陽国際特許事務所38
6弁理士法人HARAKENZOWORLDPATENT&TRADEMARK37
7IPTech弁理士法人34
8みなとみらい特許事務所33
9青山特許事務所32
10TMI総合法律事務所31
11弁理士法人三枝国際特許事務所30
12三好内外国特許事務所29
13弁理士法人オンダ国際特許事務所28
14協和特許法律事務所27
15アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業25
15創英国際特許法律事務所25
15芦田・木村国際特許事務所25
18弁理士法人平木国際特許事務所24
18弁理士法人磯野国際特許商標事務所24
20河野特許事務所東京サテライト22
21Oneip弁理士法人21
21青和特許法律事務所21
21杉村萬国特許法律事務所21
24シグマ国際特許事務所横浜オフィス19
24正林国際特許商標事務所19
26渡辺国際特許事務所18
26弁理士法人前田特許事務所18
26IRD国際特許事務所18
29弁理士法人来知国際特許事務所17
30弁理士法人IPX16
30弁理士法人秀和特許事務所16
30弁護士法人山本特許法律事務所東京オフィス16
30特許事務所IPmarche16
34坂本IP国際特許事務所15
34久遠特許事務所15
34弁理士法人光陽国際特許事務所15
37名古屋国際弁理士法人14
37プライムワークス国際特許事務所14
37創光国際特許事務所14
40東京セントラル特許事務所13
40中村合同特許法律事務所13
40弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ13
40居藤特許事務所浜松オフィス13
44弁理士法人特許事務所サイクス12
44弁理士法人RYUKA国際特許事務所12
44レクシア特許法律事務所12
44弁理士法人はなぶさ特許商標事務所12
44楠特許事務所12
44特許業務法人創成国際特許事務所12
44黒田国際特許事務所12
51深見特許事務所11
51弁理士法人いしい特許事務所11
51弁理士法人白坂11
51弁理士法人英知国際特許商標事務所11
51弁理士法人グランダム特許事務所11
51加藤合同国際特許事務所11
51響国際特許事務所11
58弁護士法人山本特許法律事務所10
58弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所10
58弁理士法人湘洋特許事務所10
58加藤来特許事務所10
62阿部・井窪・片山法律事務所9
62中尾国際特許事務所9
62ユアサハラ法律特許事務所9
62弁理士法人コスモス国際特許商標事務所9
62九州国際特許事務所9
62葛西特許事務所9
62弁理士法人きさ特許商標事務所9
62弁理士法人アルガ特許事務所9
62山本秀策特許事務所9
62尾崎特許事務所9
62弁理士法人日栄国際特許事務所9
73尾畑特許事務所8
73弁理士法人鈴榮特許綜合事務所8
73弁理士法人大塚国際特許事務所8
73弁理士法人藤本パートナーズ8
73リード国際特許事務所8
73高島国際特許事務所8
73東山特許事務所8
73弁理士法人一色国際特許事務所8
73村瀬特許事務所8
73三協国際特許事務所8
73弁理士法人クシブチ国際特許事務所8
73弁理士法人平和国際特許事務所8
73青藍国際特許事務所8
86山川国際特許事務所7
86法律事務所ZeLo・外国法共同事業7
86森本聡特許事務所7
86弁理士法人ユニアス国際特許事務所7
86曙国際特許事務所7
86弁理士法人眞久特許事務所7
86久留特許事務所東京ブランチ7
86弁理士法人坂本国際特許商標事務所7
86BS国際特許事務所7
86白井特許事務所7
86西澤国際特許事務所7
86特許業務法人小野国際特許事務所7
86弁理士法人柳野国際特許事務所7
86松尾特許事務所7
86弁理士法人アスフィ国際特許事務所7

まとめ

今回は国内の特許出願に関して、発明の新規性喪失の例外を調べてみました。昨年からの同じ傾向や変化も含めて観察することができたのがよかったと思います。来年も続けていければと思っております。

本件は、自動プログラムで算出したデータを基に出力しております。気になる点などないか目を通してから投稿しておりますが、気になる点などありましたら、コメントいただければと思っております。みなさんに少しでも興味を持っていただければ幸いです。

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