[試験] 青本第20版(第19版との差分)

青本第20版(第19版との差分)

工業所有権法 逐条解説

特許法、実用新案法、意匠法及び商標法等の条文ごとの解説書の第20版が、昨日(2017年3月16日)に発行されました。弁理士試験に取り組まれている受験生の必読書ですね。待ちに待った工業所有権法 逐条解説(通称、「青本」)の最新版が特許庁からPDFで公開されています。

第19版から4年超

第19版が2012年12月に公開されていたので4年と3ヶ月で改定。第19版が出たときも思ったのですが、どこが更新されたかよくわからない。そこで今回も公開されている第20版と前第19版との差分を取ってみました。

この場で公開したいのですが、特許庁のホームページを参照すると、著作権法の例外は除くが翻訳等の利用の制限が厳しく、公開できないと判断しました。

したがって、差分の取り方を開示いたします。

大前提

青本の第20版が公開されると同時に第19版が特許庁のホームページからは消えているようです。既に第19版を保存している人又は入手できる人がこの方法を適用できる方です。

差分の取り方

準備としては、上記に書いた第19版と、特許庁で公開されている工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第20版〕を入手してください。

OSは、Windowsを利用しました。ただ、利用ソフトウェアは、下記のMicrosoft Word とAdobe Reader DCだけなので、macOSでも転用できると思います。

使用ソフトウェア

  • Microsft Word (以下、Word)
  • Adobe Reader DC (以下、Reader)

テキスト抽出

青本の第19版及び第20版をReaderで開き、差分を取りたい部分を同じ条文だけ選択し、コピーします。Readerの出番はこれだけです。次にWordで新規文書を2つ作成し、それぞれ貼り付けます。

Wordによる前処理

この状態で差分を取ると改行位置がバラバラなので悲惨な目に合うと思います。なのでテキストに対して、差分をとるための前処理をします。使う機能は、Wordの「置換」。キーとしては、置換のワイルドカードを利用すること。以下に置換画面の[ワイルドカードを使用する]をチェックした画面を貼っておきます。

置換作業

それでは置換をしていきます。差分を取ったあとの見栄えを良くするために、「太字」を使ったりしていますが、必要のない方は、飛ばしてください。下記表の「変更前」を」検索する文字列」に、「変更後」を「置換後の文字列」に入れて置換していきます。所々、2つの文字列に対して[書式]を入れます。

ごちゃごちゃやっていますが、すべては一番最後の変換をきれいに行うためだけのお膳立てです。青本には、不要な特殊文字がたくさん使用されているのでそれを消すのが大変です。要領としては、第19版のWord文書と第20版のWord文書とを同時に置換していくことです。うまくできなくても2つが揃っていれば差分は取れると思います。

変更前 条件 変更後 条件
特 許 法 [0-9]{2,3}^13  なし
[0-9]{2,3} 特許法^13  なし
?改行  なし
?  [実]  なし
?  [意]
?  [商]  なし
?  なし
?  なし
^13実意商^13  なし
^13実意^13  なし
^13実商^13  なし
^13実^13  なし
^13意商^13  なし
^13意^13  なし
^13商^13  なし
(改正[!)]{1,100})  なし
(見出し改正[!)]{1,100})  なし
(本条追加[!)]{1,100})  なし
(本項追加[!)]{1,100})  なし
(本号追加[!)]{1,100})  なし
^13(([!)]{1,30}))^13(第) ^l^l\1^l\2
^13〔旧法との関係〕 ^l^l〔旧法との関係〕
^13(〔趣旨〕)^13 ^l\1^l +太字 属性を追加
[^l^13](第[一二三四五六七八九〇]{1,3}条の[一二三四五六七八九〇]{1,2}の[一二三四五六七八九〇]{1,2}) ^l\1
[^l^13](第[一二三四五六七八九〇]{1,3}条の[一二三四五六七八九〇]{1,2})([!の]) ^l\1 \2 +太字 属性を追加
[^l^13](第[一二三四五六七八九〇]{1,3}条)([!の]) ^13 ^l\1 \2 +太字 属性を追加
 (?) +太字
半角スペース+任意の一文字
 \1 +太字なし
半角スペース+任意の一文字
の^13([一二三四五六七八九〇十]{1,3})第  の\1第
[^l^13]([一二三四五六七八九十]{1,2})([!項号条年月日人分一二三四五六七八九十百〇、)箇般件段層のにを]) ^l\1 \2 「一方、で」「一審[!判]」「一部[!改]」に注意。「二一群」に反応する。*1
?^13  なし
?^13  なし
?^13  なし
([!。])^13 \1

*1: 万能ではありません。記載文字を検索して修正してください。

最終処理

置換作業お疲れさまでした。あとはかんたんです。Word機能の[文書の比較]を行えばほら出来上がり。実用新案、意匠及び商標もできると思います(私もまだできていない)。

まとめ

差分によりどこが新しく加わったかは一目瞭然です。追加条文は、当たり前として、消える箇所も意外と重要です(第18版→第19版はそうでした)。やってみようと思う方は、是非是非チャレンジしてください。何かあればコメントください。みなさんのお役にたてば幸いです。

 

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