[サーバー] 自宅サーバー2号機 ThinkPad X61 〜1,700円で買ったサーバー〜

📅 2026年11月3日 PC・携帯・タブレット
ThinkPad X61 自宅サーバーのイメージイラスト

趣味ではじめた自宅サーバー

大学時代に触れた高価なUnixマシン。時代が変わりUnixでなくLinuxではありますが、自分で所有して動かせる時代になり最初に動かしたのがVAIO C1VJでのFedora Coreでのブログサーバーでした。突然終了したというのが前回の記事でした。

空白期、そして再び自宅サーバーへ

VAIO C1VJが静かにその役目を終えてから、しばらくの空白期がありました。2009年、私は知財の世界に足を踏み入れました。弁理士試験の勉強を始め、同じ特許事務所の中でシステム管理をまかせてもらいながら特許技術者・事務・翻訳チェッカーと職種を変えて、様々な形で知財に関わってきました。

そんな中、2015年頃に一度大きな決断をします。大学時代に学んだ計算機科学の知識を活かし、プログラマーとして再出発できないかと転職活動に挑戦したのです。しかし現実は厳しく、まったく歯が立たない結果に終わりました。

ただ、この挑戦は無駄ではありませんでした。当時転職活動にお世話になった方からWordPressの存在を教えてもらい、「もう一度自宅サーバーを持ちたい」という気持ちが、静かにこみ上げてきました。

ジモティーで出会った1,700円の相棒

そうして2016年、2代目の相棒探しが始まりました。選んだのは、モバイルノートPCの名機として今なお名高いLenovo ThinkPad X61です。

出会いの場所は、地域情報サイト「ジモティー」。通勤途中の駅で売り主の方と待ち合わせ、手渡しでそのThinkPadを受け取りました。財布から取り出したのは、わずか1,700円。趣味として始める自宅サーバーにそれほどお金をかけることはできないと思ったからです。この日の小さな取引が、2代目自宅サーバーとして第二の人生を歩み始めるきっかけになるとは、このときはまだ知る由もありませんでした。

漆黒のボディに刻んだ新章 〜スペックとセットアップ〜

1号機の超小型Crusoeマシンから、デュアルコアCPU(Core 2 Duo)を積んだThinkPad X61への移行は、処理能力・拡張性・安定性のあらゆる面で頼もしい進化でした。Crusoeは低消費電力設計で電気代には優しいのですが、パワーが非力でした。

LAMP

OSにはArch Linuxを採用。システム構成も、当時の情報発信のデファクトスタンダードだったApache+PHP+WordPress+MySQL(いわゆるLAMP環境)へと大きく舵を切りました。PHPやMySQLサーバーを動かすのにCore 2 Duoは必須でした。

この時点ではまだ独自ドメインは取得しておらず、運用はDynamic DNSのco2.ddns.netを選択をしました。更新作業が毎回必要になってしまうのですが、無料で使えるドメインサービスを選びました。

改めて、このThinkPad X61のプロフィールを振り返ってみます。

ThinkPad X61(2代目サーバー)の主なスペック
項目 スペック / 特徴
機器名 Lenovo ThinkPad X61 Type 7675-3BJ
CPU Intel Core 2 Duo T7100 (1.8GHz)
メモリ 1.0GB DDR2(512MB x 2)
ストレージ HDD 120GB(Serial ATA接続)
ディスプレイ 12.1型 XGA (1024×768)
キーボード / 筐体 堅牢性に定評のあるピーチスキン筐体&打鍵感に優れたThinkPadキーボード
OS Arch Linux
ドメイン co2.ddns.net (Dynamic DNS)

学び直しの日々 〜特許事務所での武者修行〜

プログラマー復帰の挑戦で自分の実力不足を痛感した私は、地道にプログラミングを勉強し直すことにしました。

特許事務所の業務の中でも、VBAやC#によるデスクトップアプリ開発、さらにはIIS 6.0を使ったASP.NETのサーバーを事務所内に立ち上げ、業務改善に取り組んでいきました。

PatDATAのミドルウェアCache

中でも力を入れたのが、多くの特許事務所で使われている期限管理ソフト「PatDATA」(日本パテントデータサービス株式会社=JPDS製)の活用です。PatDATAは、InterSystems社のCaché(読みは「キャセ」)という独特なデータベースをミドルウェアに採用していました。ODBC経由で「PDWREAD」というデータソース(Cachéの名前空間は「PDW」)に接続すれば、CachéのSQL文を直接発行できる仕組みになっており、このPDWREAD接続をVBAやASP.NETから呼び出すことで、業務効率の向上につなげていきました。当時はInternet Explorerを使っていたため、ローカルファイルを開いたり、さまざまな処理を組み込んだりすることも比較的自由に行えました。セキュリティーが緩かったですね。

この取り組みの一部を自宅サーバーのWordPressでも発信していたところ、それを見てくれた方から思いがけずコンタクトをいただきました。そのときはすぐに転職とはなりませんでしたが、実はこのとき声をかけてくれた方こそ、2020年に転職することになる今の勤め先だったのです。プログラマーへの転職に一度は挫折した私でしたが、自宅サーバーで発信を続けたことが、巡り巡って今の仕事につながりました。何が縁になるかは、本当にわからないものだと思います。

HTTPの壁に挑む 〜WIPOスクレイピングでの悪戦苦闘〜

HTTPプロトコルの勉強

HTTPプロトコルの成り立ちを学び、スクレイピングにも挑戦し始めました。最初に目指したのは、WIPOの公開ページからのデータ取得です。PCT出願情報を取得して集計・公開しようと考えたのがきっかけでした。

しかし、100件ほど取得したところでロボットによるアクセスと判定されてしまい、WIPO側からアクセスを切られてしまう状態が続きました。そこでIIJなどで3回線ほどデータ通信を契約し、切られるたびに別の回線からかけ直すという力技にも挑戦しました。結局、この問題を解決することはできませんでしたが、今にして思えばとても良い経験になりました。

特許庁公報との出会い 〜今につながる原点〜

次に目を向けたのが、特許庁がインターネット上で公報を公開しているという事実でした。このデータを取得・解析して公開することを考え始めたのです。

2016年から始まったこの活動が、そのまま現在まで続く集計機能の原点になりました。今、このPatCo2で特許・実用新案・意匠・商標のデータをお届けできているのは、この頃の試行錯誤があったからに他なりません。

1年足らずの相棒だったけれど

ThinkPadならではの頑丈なボディと、バッテリー内蔵(=停電時の簡易UPS役割)というノートPCサーバーならではの強みを活かし、この環境は2016年夏から2017年6月頃の約1年間、ノントラブルで安定稼働を続けてくれました。

短い期間ではありましたが、WordPressを導入したことで、プラグインによる機能拡張やテーマのカスタマイズ、Google AdSenseによる収益化など、モダンなWebサイト運営のノウハウを数多く学ぶことができました。

追記:ジモティーの1,700円が、メルカリの2,900円に

Thinkpad X61a

3代目へとバトンを渡した後も、ThinkPad X61はしばらく手元にありました。最終的に選んだのは、OSをChromebook風の軽量OS「CloudReady」に入れ替えて、フリマアプリ「メルカリ」に出品するという道でした。

結果は2,900円での売却。ジモティーで1,700円で迎え入れた相棒は、1年あまりの現役生活とその後の第二の人生を経て、1,200円の「黒字」を携えて次の持ち主の元へと旅立っていきました(バッテリーを新しくしていたかもしれませんのでまるまる黒字ということではないでしょうが...)。

初代VAIO C1VJが「Linuxやサーバー構築の実験場」だったとすれば、ThinkPad X61は「プログラミングの学び直しと、安定した情報発信・Webサイト運営の土台」を築いてくれた存在でした。特許事務所での業務改善、WIPOスクレイピングでの試行錯誤、そして特許庁公報データの収集・解析という、今のPatCo2に直結する挑戦が生まれたのも、このThinkPad X61時代があったからです。

1,700円で買ったこの小さな相棒に、心からありがとうを伝えたいと思います。

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