ドラマ「それってパクリじゃないですか?」第4話～商標出願の勝者～(ネタバレあり)
第4話
商標登録出願の同日出願。悪意の商標出願への警鐘。「月夜野ドリンク」はブラック企業?! ホワイト企業?!
水10のドラマ(日テレ)
先週に引き続き、日テレのドラマ「それってパクリじゃないですか?」を見ました。第4話です。前回までの感想は、以下のURLで記載しました。もし興味あればご覧ください。
第4話「商標出願の勝者」
第4話のタイトルは、「商標出願の勝者」です。前半は、主人公亜季が属する会社「月夜野ドリンク」で一大プロジェクト「ムーンナイトプロジェクト」で巷で有名なイメージキャラクター「ツキヨン」を使った商標出願の準備が進みます。亜季と上司の北脇がプロジェクトに参加する中、北脇が突然いなくなり親会社のスパイではないかといううわさがひろがり、不安が高まります。しかし、北脇はかつて親会社の研究員で、自身の同期の南のために戻っていたことが判明し、亜季は無事に商標登録出願の準備を進めることができました。ここまでは、北脇が南のために奮闘していたことなどの熱い友情と、スパイ疑惑が解消されるというストーリー展開でした。
ところが後半は、急に有名なイメージキャラクター「ツキヨン」を巡り、競合の「ハッピースマイルビバレッジ」が商標登録出願を目指しているということが判明します。なぜだかわからないのですが、その準備ができた当日に競合も出願できていることがわかったのかのように出願をその日のうちにしようと知財部員全員(4人)が会社に集まります。4人が集まったところで、亜季は巷で有名となった「ツキヨン」は、みんなのもので自社が独占すべきものではないとの思いに至り、午後11時59分ごろ出願を断念します。上司の北脇もその判断を尊重します。翌日、亜季は、商標登録出願をしなかったことをプロジェクトメンバーに謝罪します。ところがここから、出願した「ハッピースマイルビバレッジ」がその出願を公表すると、SNSで炎上し、「ハッピースマイルビバレッジ」が叩かれます。出願しなかったことは、逆に亜季のお手柄になったのです。
https://www.ntv.co.jp/sorepaku/story/04.html
感想
今回の後半で扱われた午後11時59分ごろの出願断念なのですが、一般の人には、どうして『その日のうちに出願しないといけないの?!』という疑問をすっとばしている気がしました。新規性のありなしのときは、日時分秒まで先後が問題になるのに、出願は日時で良いという説明はありません。そこまで説明するとストーリーが堅苦しくなるからだとは思うのですが、同日出願(商標法第8条第1項)を非常に重視した回でした。
同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
商標法 第8条第1項
出願しないという判断に至ったあとは、急に「悪意の商標出願」の方に話が展開し、ハッピーエンディングとなりました。競合の「ハッピースマイルビバレッジ」及びその所内弁理士が完全にヒールです。笑っちゃうぐらいに悪役がはまっています。とても面白い展開でした。
「悪意の商標出願」をテーマに持ってきますか!! と驚きました。タイトルが「商標出願の勝者」なのですが、出願しないことで会社の印象を悪くしないという意味で使ってたのかと奥深さを感じました。今後もタイトルまで要注意ですね。
ちょっと話はそれるのですが、私が事務機器メーカーに勤めていたころ、事務機械工業会でパソコンの画面内の用語に「ホチキス」という名称を業界全体で使用しましょうと話し合いをしていたことがありました。自社は「ホチキス」という用語を使っていたのですが、商標などはとっておらず業界全体で使うことに。ところがその事務機械工業会に所属する他社が、部品としての商品で「ホチキス」という商標を取ってしまったことを思い出しました。SNSはなかったころですし、その他社の知財部の抜け目のなさはすごいなと感心しつつ、統一用語として使えなくなったことを思い出しました。正確には画面では使えないわけでなくて、詰め替えたりする部品に「ホチキス」と使えないだけなのですが、その知財部の対応はよくないとの判断で、統一用語をやめてしまいました。今、検索したら、「ホチキス」の用語は登録されてないですね。もう更新はしなかったのかもしれません。
閑話
「月夜野ドリンク」が、夜中の12時を超えるまで知財部員が働いているという状況が描かれていました。普通に考えたらひどい残業と思ってしまいました。しかも4人も残っていました。ただ、一夜明けたお茶を飲むシーンは、上司が部下にお茶を入れたりして、なごやかなシーンも描かれています。「月夜野ドリンク」! 気になる会社です(笑)。
まとめ
ドラマ「それってパクリじゃないですか?」の第4話が終わりました。第4話もとても面白かったです。コメディタッチの部分があり、疑惑、友情、信頼とストーリー性も十分です。ただ、同日同時間にやってる波留さん主演の「わたしのお嫁くん」もちょっと観てみたのですが、恋愛ドラマ系で一般受けはこちらかと思ってしまいました。「それってパクリじゃないですか?」は、とても良いドラマだと思うのですが、「同日」同時刻のドラマが面白いのでついてないですね。
