[特] 出願公開と出願日の関係(2016年)

出願公開と出願日の関係(2016年)

年度末伝説

2016年に出願公開された特許出願の出願日の調査を行いました。2016年に公開されるには、原則として2016年中に出願日から18ヶ月経過していることが条件となります。条件を箇条書すると次のような条件。

  • 優先権があれば先の出願から18ヶ月
  • 分割出願であれば元の出願から18ヶ月(18ヶ月が経過していれば速やかに)
  • 通常出願であればその出願から18ヶ月
  • 出願公開請求(特許法第64条の2)されれば速やかに

なので分割出願であれば遡及出願日から18ヶ月以上経ったものでも2016年に分割出願されていれば2016年に公開されます。以上の条件を踏まえて2016年に出願公開された案件の月別グラフを見てください。

やはり多いのは通常出願の18ヶ月経過した条件を満たすものです。2016年1月の18ヶ月前である2014年7月付近から2016年12月の18ヶ月前の2015年6月付近まで。しかも3月の出願が群を抜いて多い。やはり年度末の特許業界が忙しいというのはデータに現れますね。これは、企業で働く発明者には、年度末のノルマがあるせいなのでしょうか。

特許業界は年度末が忙しいと言う話は本当ですね。

早期公開制度

優先権を使った出願も実際の出願から18ヶ月を待たずに公開されます。しかし、それも限度があり、2016年6月以降の出願では、2016年中に公開されることはありません。でもグラフを見てもらうとわかるように2016年の10月の出願まで公開されています。これは、出願人の意思に基づいて、出願公開の請求がなされたことを意味しています。

準備に2ヵ月

2016年10月の出願を最後に2016年に公開がなされていないことがを考慮すると、出願と同時に出願審査の請求がなされたとして、出願公開までに2ヵ月の公開までの作業が必要であったということがわかります。

工業財産権法逐条解説(通称、「青本」)の36条の2の解説で記載されている通りです。出願審査の請求をしてすぐに公開できるまでには、いろいろと準備が必要なのですね。このデータから青本の記載の正しさがわかりました。

まとめ

2016年に公開された案件の出願日を調べることによって、3月の集中と、出願準備のことについてわかりました。みなさまの好奇心を少しでも満足していただければ幸いです。

最後に生データを付けておきます。

生データ

年・月 出願数
2014年1月 4
2014年2月 5
2014年3月 6
2014年4月 9
2014年5月 7
2014年6月 10355
2014年7月 14482
2014年8月 13045
2014年9月 17942
2014年10月 14078
2014年11月 12874
2014年12月 16703
2015年1月 12581
2015年2月 15079
2015年3月 25735
2015年4月 12827
2015年5月 12084
2015年6月 3558
2015年7月 2242
2015年8月 2632
2015年9月 3490
2015年10月 3878
2015年11月 3744
2015年12月 4113
2016年1月 3036
2016年2月 3501
2016年3月 4086
2016年4月 3411
2016年5月 2652
2016年6月 2536
2016年7月 2035
2016年8月 1631
2016年9月 953
2016年10月 168

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です