[日誌]インターネット出願ソフトの画像ファイル(フォーマット編)~五十歩百歩~

サイズ編

特許出願において白黒が扱えるbmp等と、グレースケールが使えるjpegがある。甲乙つけがたい。

インターネット出願ソフトの画像ファイルに関する動作仕様

前回の「[日誌]インターネット出願ソフトの画像ファイルの取り扱い(サイズ・解像度編)~くせが強い~」でも引用しましたが、インターネット出願ソフトは、画像ファイルの取り扱いを以下の仕様で定義づけています。

画像ファイルの仕様~特許庁の電子出願ソフトサポートサイトより~

これを見てわかるのが、インターネット出願ソフトで取り扱うファイル形式(上記表の「イメージ形式」)は、PNG, GIF, BMP, JPEGの4つです。この4つのファイル形式は大きくは2つのグループにわけられる。モノクロのみのPNG, GIF, BMPと、グレースケールが使えるJPEGとです。

ファイル形式長所短所備考
 PNG, GIF, BMP (モノクロ2値のみ)・画質劣化なし・2値化しないと出願ソフトで勝手に2値化する・2値化する手段としては誤差拡散処理などをしなければならない
JPEG (グレースケール)・グレースケールでの出願が可能
・圧縮率が高い
・不可逆圧縮で画質が劣化線画にジャギーが出る
・国際出願の場合、国際公開がTIFF(白黒2値)で行われるため不鮮明になる
・写真等の全体に色彩が施されている画像に対しては、圧縮率が高く、見た目の画質も保持される
・線画などには不向き
ファイル形式の特徴(まとめ)

ファイル形式の各グループの特徴

百聞は一見にしかず。以下のような画像を図面として貼り付ける場合を見ていきましょう。

テストの画像

PNG等の特徴

PNG等は、白黒2値化にしないと使えないので、白黒2値化します。左は、単純に2値化したもの。それでは遠目で見ても使えないことがわかるので、右のものは誤差拡散処理をした後に2値化したものを表示しています。

画像処理ソフトで2値化したもの(左: 単純2値化、右: 誤差拡散処理後に2値化)

誤差拡散処理後のものも拡大してみると、白と黒とだけで絵を構成しているのできれいな中間色で色塗りされているわけではないことがわかります。

誤差拡散処理後の2値化を拡大したもの

JPEGの特徴

一方、JPEGがグレースケールが使えるので、白黒だけの表現とは違い遠目には現物の図と同じようにも見ます。

JPEG(グレースケール)

しかしながら、かなり拡大してみると、線の外側にぼんやりぼやけるような処理がされていることがわかります。これは、JPEGが圧縮効率は高いながらも非可逆圧縮によるものです。PNG等は、誤差拡散時に画像の劣化が生じますが、一度PNG等に変換されればその後は何回修正を加えられて保存しなおしても画質を保持できますが、JPEGは、修正→保存→修正→保存を繰り返すと処理による画像の劣化が大きくなります。

JPEGの拡大図1
JPEGの拡大図2

特に線画を使った場合JPEGの劣化は大きく生じます。何度も図面の変更をしたいと思う場合、JPEGに変換する前の原本を保存し、それを修正してJPEGに書き出すことをしなければなりません。海外案件で原本をもらえない場合などは、JPEGで出願するときは画像の劣化は止む無しといったところです。

その他

特許庁の仕様の注意事項としては、特許に限り以下の記載もあります。

国際出願願書の図面と要約書に JPEG が含まれていると警告が表示されます。これは、国際公開時にイメージが JPEG のグレースケールから TIFFの 2 値へ変換され、イメージが不鮮明になることに対する警告です。

https://www.pcinfo.jpo.go.jp/site/3_support/pdf/img_01.pdf

ただ、国際公開のイメージが不鮮明になるということだけで実際の権利を審査するときはその公開された絵で判断されるわけではないでしょうから、それほど問題でもないものと思われます。

まとめ

特許の図面等で使える画像ファイルは、そのファイル形式が限定されており、白黒2値化のPNG等のファイルと、グレースケールが使えるJPEGとがあります。どちらも長所・短所を有しており、どちらを使えばよいか甲乙つけがたいといったところです。

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