[覚書] 特許料の複数年分納付に関する1/3軽減後の料金について

SK特許業務法人(以下、「SKIP」)で実務を行い、その覚書を記載します。オリジナルは、SKIPに置く予定です。

結論

特許料の複数年分納付に関する1/3軽減後の料金は、単年毎に料金が減免され、端数切り捨てを行う。そして、端数切り捨てを行った額を足すことで求められる。

減免制度

2019年4月1日以降に審査請求をした案件に対しては、中小企業等を対象とした「審査請求料」、「特許料(1~10年分)」の減免措置があります。その中で、小規模企業(法人・個人事業主)の軽減率は、1/3と規定されています。

この1/3は、審査請求料等に対して、1/3に減額するということです。例えば、出願日が2019年4月1日以降の通常出願で請求項が10個の出願の出願審査請求料は、\178,000となります。1/3の軽減が入ると、\59,333.333…となるところ、10円以下は切り捨てというルールがあるため\59,330となります。

特許料の複数年分の計算方法

この1/3の軽減は、特許料に関しても適用されます。そして特許査定後の30日間に払うべき特許料は、1年分から3年分を一度に払わなければならず(特許法第66条第2項)、必ず複数年分で支払う必要があります。

請求項の数が10の特許出願に対して、登録料納付で、1年目から3年目の特許料を払うときは、通常であれば、第1年分が\2,100 + \200 x 10 = \4,100、第2年分も\4,100、第3年分も\4,100となり合計\12,300を払うことになります。

これに対して、軽減が1/3の場合、この額に対して、1/3と考えると、\12,300 x 1/3 = \4,100となります。

特許庁の手続料金計算システムでは

しかし、特許庁の手続料金計算システムを使って計算すると、納付額は、\4,080となります。下の図の一番下の赤枠の中を参照してください。計算結果は、\4,080となっています。

特許庁の手続料金計算システムより

計算方法

この計算方法は、複数年分の一括納付であっても、特許料は、各年分の料金をまず計算して、それを足すことによって得られることになるからです。第1年分は、通常料金の\4,100の1/3。そして、その第1年分の特許料に対して10円以下は切り捨てというルールが適用されます。すると料金は、\1,360となります。そして、これが3年分積み重ねられ、\1,360×3 = \4,080と計算されるのです。

少し考えれば、4年から10年を一括で払う人と、4年から10年を各年で払う人とで、支払額が違ってくるのは変なので、至極当然の計算方法なのかもしれませんが、登録料納付時に1年分から3年分を一括で払うと考えていると、ちょっと戸惑う計算方法ではないかと思いました。

今後のために覚書をしておきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です