ドラマ「それってパクリじゃないですか?」第8話~本物の怪物~(ネタバレあり)~発明者の補正は簡単じゃないぞ!

第8話

本物のパテントトロール、総合発明企画との対決。総合発明企画の代表である芹沢の脅しに対し、芹沢の過去の悪事をつきとめて和解を果たす。

水10のドラマ(日テレ)

先週に引き続き、日テレのドラマ「それってパクリじゃないですか?」を見ました。第8話です。前回の感想は、以下のURLで記載しました。もし興味あればご覧ください。

ドラマ「それってパクリじゃないですか?」第7話

第8話「本物の怪物」

第8話のタイトルは、「本物の怪物」です。前回、通称「009特許」を巡る争いを行った「今宮食品」から「009特許」を買い取った「総合発明企画」のから、特許侵害訴訟を訴えられます。しかも、「月夜野ドリンク」の開発部長である高梨は、過去に不正に絡んだことがあると、過去のスキャンダルの脅しも含まれていました。

主人公亜季、上司の北脇、顧問(?!)弁理士の又坂は、「009特許」の無効化に奔走します。同時に過去の高梨の行ったことに対して実態を明らかにしようと事実関係を調査します。特許の無効化は、全社員を巻き込んで海外に関連文献があることを発見し、それが「009特許」の出願前に公開されているとして、無効であることをつきとめました。高梨の過去については、高梨は不正に加担させられただけのこと、それよりも、「総合発明企画」代表の芹沢の方が、不正な文書偽造をしていたことを特許庁の資料から発見します。芹沢の脅しもここで万事休す。芹沢は訴訟を取り下げ、「月夜野ドリンク」からお金をとることをあきらめました。

https://www.ntv.co.jp/sorepaku/story/08.html

感想

第7話にパテントトロールとして出てきた「今宮食品」は、商品発売をしており、自社も特許侵害をしているということで和解に持ち込みました。今回は、その「今宮食品」から特許を買った「総合発明企画」が訴訟を起こしてきました。「総合発明企画」は、自社では特許の実施をせず訴訟によるお金を巻き上げることを収益としている点で、「本当の」パテントトロールと思われます。なので、タイトルにも「本物の」と付けたのかもしれません。では、前回の「今宮食品」は何だったの? と少し笑ってしまいました。

今回は、特許侵害訴訟と開発部長の過去の不正に対応するという内容で、少しシリアスな感じでした。コメディーたっちな部分が少なかった気がします。BGMも割と鬼気迫る感じのものが多い気がしました。

一番気になったのは、「総合発明企画」の芹沢の過去の不正に関してです。芹沢は、過去に「009特許」の「出願人名義変更届」及び「手続き補正書」を提出し、「009特許」の出願人及び発明者を変更した。その手続きの代理人が弁理士資格もない芹沢だったため、芹沢は、悪徳会社の「太陽新社」の一員だったとつきとめるというストーリー展開です。「弁理士資格がない人」→「出願人に関係のある人しか代理人ができない」というロジックは、一般の人にはわからないでしょうし、説明は省略されたので、知財関係者以外は置き去りにされたのではないでしょうか。まぁそこまで深く考える人はいないと思うので特に問題はないとは思います(笑)。

そして、最もあっさりスルーしたのが発明者の変更。今回、「出願人名義変更届」及び「手続き補正書」を提出し、「出願人」及び「発明者」を変更したとなっています。しかしです。通常、発明者の変更は、発明者の誤記を訂正する場合に限られています(以下の特許庁の引用を参照)。しかも、発明者相互の「宣誓書」を求めます。もちろん、前の発明者が忙しさのあまり何でも押印をしていたとしているので、宣誓書の偽造もできたとは思いますが、個人的には、発明者の変更ができるなんて、視聴者に思わせるのは、少し行きすぎかなぁと思いました。実際に、ここまでの発明者の補正をしたことがないので、はじかれるかどうかはわかりませんが、実務をしているものとして、発明者の変更は、出願人の名義変更より難易度は高いと思います。それほど、発明者は守られているのだと思います。発明者の変更に関して、気になった方は特許庁のページをご参照ください。

発明者の補正は、原則、発明者の誤記を訂正する場合に限られます。

発明者(実用新案は考案者・意匠は創作者)の補正について
  • 「手続補正書」には、以下「1.」の書面の添付が必要になります。
    • 1. 誤記の理由を記載した書面
      なお、誤記の訂正が発明者自体の変更のおそれがある場合(例えば、姓及び名又は姓及び住所を同時に訂正する場合等) には「1.」の書面に加えて発明者相互の宣誓書の提出を求める場合があります。
発明者の誤記の訂正

https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/madoguchi/info/faq-after-filing/hatsumesha-hose/index.html

いろいろ書いておりますが、あまり知られていない知財関係のことをドラマ化する困難性にチャレンジする「それパク」はとても興味深いです。こんなドラマ、今までになかったですから。同時間帯に放映されている「わたしのお嫁くん」とよく比較されているみたいですが、私はやっぱり「それパク」が好きです。残り放映回数も少なくなってきましたが、久々の連ドラ完全視聴を達成したいと思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/509d956181dcebca81424f6fb76a78efaeb901e9

まとめ

ドラマ「それってパクリじゃないですか?」の第8話を見終わりました。発明者の変更はそうそうできるものではないぞ! と思いつつ、今週も楽しませていただきました。

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