[意] 国際登録制度の出願人ランキング
国際登録制度の出願人ランキング
国際意匠登録出願
日本は、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定に2015年より参加しています。意匠の国際登録制度は、特許のPCT出願のように一つの国際出願手続により、複数の指定締約国の保護を一括に行える制度です。一括で手続を行うことにより、手続の簡素化と経費節約とを目指しています。
国際登録出願の特徴
日本における国際登録意匠は、日本国民か日本に住所がある法人等が日本国特許庁に出願できます(意匠法第60条の3第1項)。出願に関する特徴としては、1出願に複数の意匠を含めることができることであるとか、出願は決められた外国語(英語、フランス語又はスペイン語)で出願しなければならない等が挙げられます。
国際意匠登録出願
以上の国際登録出願がなされ、以下の条件を満たすと晴れて「国際意匠登録出願」となります(意匠法第60条の6第1項)。
- 国際登録される(ジュネーブ改正協定第1条(vi))
- 国際公表される
- 指定国に日本が含まれる
「国際登録出願」がなされ、国際登録・公開を経て「国際意匠登録出願」になります。なんだか複雑です。
国際出願の利用率
2015年の4月に施行された国際登録制度ですが、2015年中に登録までいたったものは、2件でした。その後、着実に数を増やしています。今年は、この4ヶ月で既に昨年の倍近い数が登録され公開されています。この4%半ばの状態で遷移していくのでしょうか。
2015 | 2016 | 2017(5/1現在) | |
---|---|---|---|
比率 | 0% | 0.85% | 4.68% |
国際意匠登録出願数 | 2 | 229 | 417 |
すべての意匠登録出願数 | 27,717 | 26,728 | 8,916 |
出願人ランキング
ランキングこそこのサイトの命?ではありませんが、出願人ランキングをとってみました。2017年5月1日現在の状態です。残念なのが願書が外国語でなされているため、国内出願とのデータのマージができないことです。願書が外国語だし、IDの特定もできないし、統計をとるには孤立してる案件です。ランキングのガラパゴス。他の出願と関連性が切れてしまっています。「MICROSOFT CORPORATION」が9位にいますが、全体出願の「マイクロソフト コーポレーション」とは別集計されています(もちろん本社と日本支社の違いかもしれませんが、それを紐付けすることは今のこのサイトではできません)。まずは1位から20位。
順位 | 出願数 | 出願人 |
---|---|---|
1 | 66 | HERMES SELLIER (SOCIETE PAR ACTIONS SIMPLIFIEE) |
2 | 45 | KONINKLIJKE PHILIPS N.V. |
3 | 30 | BOTTEGA VENETA SA |
4 | 19 | CARTIER INTERNATIONAL AG |
5 | 18 | SABIC GLOBAL TECHNOLOGIES B.V. |
6 | 17 | AUDI AG |
7 | 16 | VAN CLEEF & ARPELS SA |
8 | 15 | ROLEX SA |
9 | 14 | NINEBOT(BEIJING)TECH. CO.,LTD |
10 | 14 | MICROSOFT CORPORATION |
11 | 14 | ANKI, INC. |
12 | 13 | MONTBLANC-SIMPLO GMBH |
13 | 10 | SUMITOMO RUBBER INDUSTRIES, LTD. |
14 | 10 | CYBEX GMBH |
15 | 9 | CHAUMET INTERNATIONAL S.A. |
16 | 9 | VALENTINO S.P.A. |
17 | 8 | EMPATICA SRL |
18 | 7 | VITRA PATENTE AG |
19 | 7 | LEM INTELLECTUAL PROPERTY SA |
20 | 6 | RENAULT S.A.S. |
所感
エルメスは、圧巻の1位ですね。その他もアウディ、ルノー、ロレックス、バレンチノと、世界的にデザインが有名な会社がぞろぞろでてきます。その中で日本の会社と思われるものは、「住友ゴム」が10位。日本出願が認められたのが2015年以降ということを考えると、日本を指定国にできない時代から使っていたのか、2015年以後一生懸命利用したのか、いずれにせよ、ご立派なランキングです。ブラボーです。
まとめ
2015年に始まった意匠の国際登録制度のランキングをとってみました。まだまだ始まったばかりの制度ですが、特許のPCTや商標のマドプロのような広がりを見せるのでしょうか。PCTの国内書面のような書面を提出させて、案件の日本語化を充実してくれればいいのにと思うのは、集計サイドの言い分ですね。今回もみなさまの好奇心を少しでも満たすことができたのなら幸いです。
以下、20位から100位までです。