[実]実用新案登録までの日数
国内優先権
特許法は、自ら先にした国内出願を利用して更なるアイデアを追加して出願ができるという国内優先権制度を有しています(特許法第41条)。通常、自分がした特許出願又は実用新案登録出願から1年が経つ前に先の出願が放棄・取り下げ・却下・拒絶されなければ、その出願を含む形で新しい特許出願ができます。同じアイデアから派生した関連する発明を網羅的に取得するための法律です。
その国内優先権の制約の中に、更に「実用新案法第14条第2項に規定する設定の登録がされている場合」(同条第1項第5号)を除くというものがあります。実用新案登録出願権者は実用新案登録出願を基に国内優先権を主張して特許出願できるのですが、実用新案登録出願が登録されるまでに限定されているのです。前回のひと言で実用新案登録出願は、平均3ヶ月弱で登録されていることを知り、上記の条文は、実用新案登録出願を基に国内優先権を主張するのはほぼ難しいことを指しているとわかりました。そこで今回は、年毎の傾向を見てみることにしました。年ごとに登録日数がどう変化しているかです。
SQL文
テーブルは、Aとして、以下の構成を有するものとします。
- 出願日
- 登録日
- 種類 (特許、実用新案等)
Select Avg(DateDiff(A.登録日, A.出願日)) As avg,
Min(DateDiff(A.登録日, A.出願日)) As min,
Max(DateDiff(A.登録日, A.出願日)) As max
Year(A.登録日)
From A
Where A.種類 = 'U'
Group By Year(A.登録日)
Whereにより案件を実用新案(‘U’)に限定します。Groupにより年ごとに分類わけを行います。DateDiff()関数で出願日から登録日までの差分を計算し、Avg()関数を使って出願から登録までの日数の平均を取得します。Min()関数を使ってGroup化された日数のうちで一番小さい値を取得します。Max()関数を使ってGroup化された日数のうちで一番大きい値を取得します。結果は以下の通りです。
年 | 平均 | 最短 | 最長 |
---|---|---|---|
2013 | 76.6 | 47 | 742 |
2014 | 82.3 | 45 | 1174 |
2015 | 84.5 | 45 | 1301 |
2016 | 80.9 | 46 | 1497 |
グラフ化もしてみました。最長の値が大きすぎてあまり、平均と最短の値の変化がわかりづらくなってしまいました。
分析
結果を見てみると、最短の日数は、ここ数年変わりはないようです。最長のものは、伸びています。実用新案登録出願の登録までの日数が伸びる要素はどこにあるんでしょうかね。形式審査の不服等があったのでしょうか。しかも年々伸びています。ただ、今年で切りを付けたのかどうかは、また来年末の集計ですね。
平均は、ここ数年増加傾向でしたが、今年は短くなっています。出願数も減っているので処理が早くなっているのでしょうか。年ごとの統計は面白いですね。