SE/30 (old Mac)を調べてみた②~1989年第5週作成~

前回は、製造番号 F921ECGK02 の SE/30 を調べ、「1989年第21週製造でサイン入りでは?!」と盛り上がったものの、残念ながら筐体内部にサインはありませんでした。

今度こそ! Macintosh SE/30のサイン入りの期待

そして今回、メルカリで新たに見つけたのが製造番号:F9058VGM5119 の SE/30 です。

さっそくMac Serial Number Decoderで詳細を調べてみると、なんと 1989年第5週(1月29日〜2月4日)製造 との結果がでました。SE/30の発売開始が1989年1月19日ですから、まさに「発売初月」にカリフォルニア州フリーモント工場でラインオフした超初期ロットです。

「この時期の個体なら、もしや…」と、開発チームのサイン刻印を期待して胸を躍らせながら筐体を開けてみたのですが、残念ながら内部にサインは見当たりませんでした。製造番号が若ければ必ずしもサインがあるわけではない、という現実がわかってきました。

筐体とアナログボード、電源、CRT

気を取り直しこの個体(以下、F905)の内部構成を詳しく見ていきます。

部位Serial Number備考(メーカー等)
筐体F9058VGM5119
ディスプレイ(CRT)9017 3, YK1000 159-0019-HCLINTON TAIWAN CORP.
アナログボード8922048568MACINTOSH SE ANALOG 820-0206-C 630-0147-Cとの記載あり
電源ユニット(PSU)S024393SONY モデルCR-44 PART No. 699-5047 電源の口・スイッチは黒色
筐体の内側815-0960 REV Aサインはなし
SE/30のSerial Number等

興味深いのは、その「多国籍」な成り立ちです。台湾製の Clinton管 、日本が誇る Sony製の電源ユニット(通称:黒電源) 、そしてそれらを統合し、アメリカのシリコンバレーで組み立てられた歴史が刻まれています。

1989年当時のAppleが、世界中から最高水準のパーツをかき集め、フリーモント工場の高度な自動化ラインで形にしていた背景が、この一台に凝縮されているのかと思います。内部パーツの製造時期から推測すると、一部は後年に修理・メンテナンス目的でアップデートされた可能性もあり、長年大切に使われてきた「個人の歴史」も感じさせます。

レトロブライト

今回はサイン入りではなかったこともあり、心置きなく外装のケアに挑戦することにしました。長年の紫外線で黄ばんでしまったプラスチックを蘇らせるべく、「レトロブライト」を試行しています。

初めての試みということもあり、少しムラが残ってしまい、まだ完璧な仕上がりとは言えません。しかし、本来の美しいアイボリーを取り戻すべく、あと数回調整を重ねて「美白化」を完遂させたいと考えています。自分で納得がいくところまでムラを消して、その時点でまた報告したいと思います。

SE/30の奥深さ

今回の調査で感じたのは、SE/30の個体選びの難しさと面白さです。前回の「F921ECGK02」もそうでしたが、製造番号だけでサインの有無を完璧に予見することはできないようです。重要なのは、筐体内部の型番刻印が 「815-09600-C」 であるかどうか、という点にあるようです。「815-0960 REV A」は、形式的には時期が早いように思えるのですが、サインがないことを鑑みると、この微細な型番の違いが、サイン入り金型を使用しているかどうかの分岐点になっていることが見えてきました。

ここで、SE/30の一般的な遍歴と今回の個体の位置づけを整理してみます。

  • 1989年1月(初期): 発売開始。本個体(F905)はこの最古参グループに属します。
  • 1989年中盤〜後半: 量産体制が安定。前回の個体(F921)などがこの時期にあたります。
  • 1990年以降(後期): 内部パーツのコストダウンやサプライヤーの変更が進みます。

今回の個体は、シリアル上は「超初期型」でありながら、中身は信頼性の高いSony製電源などに換装されており、「歴史的価値と実用性を兼ね備えたハイブリッドな一台」と言えるでしょう。

まとめ

期待していたサインはありませんでしたが、SE/30という名機の黎明期を感じさせてくれる素晴らしい一品でした。パーツの一つ一つに、当時のエンジニアたちの設計思想が息づいています。

一つの謎が解けると、また次の謎が出てくる。SE/30等のOld Macの深みにはまりそうです。今後も理想の一台を求めて、SE/30を追いかけていきたいと思います。

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